
❇️片暉の残照❇️
第8章 成祝の義とスノーフェアリー
「いやいや――――楽にしてくれ」
何事か分からず、お母様に右ならえで頭を下げると…入り口から男性が二人入ってきた――――。
「これは――――ジルベルト様!わざわざ…私の娘のため、成祝のお言葉を頂けるとは…光栄にぞんじます」
お父様が頭を下げたまま…入ってきた人物に丁寧な言葉で祝言の例を言う。
――――ジルベルト…ゴルドガ…
ゴルドガ!?王様?
私は目の前にいる人を王様だと思い固くなる!
「表を上げよ――――…ジルベルト様から直々の祝言である」
ゾク――――っ!
冷たい…
もう一人の男性の物言いに頭を上げろと言われているのに「そのままでいろ!」と、言われているような…怖い矛盾を感じた。
「リューク、ありがとう。さて、成人したハジロ公爵の――――養女の顔を拝見したいのだが?」
――――養女…
さっきお父様は私のことを“娘”と紹介したはずなのに…
あえて――――“養女”と言った…。
