❇️片暉の残照❇️
第10章 嫉妬の代償
「いや――――“平民の癖に”って…いちいちうるさかったし!だから、俺も――――…しかも、眼帯した病気持ちだと思ったら…誰だって勘違いするだろ!」
「なんて…安易な……はぁ…そうか――――…」
王宮警備隊は男からの話を書き留めると――――…後ろにいた男にメモした紙を渡した。
「今日はここまでだ――――…雇われたとは言え…実行犯はお前だ…重い刑が下るのは覚悟しろ!」
「そ、そんな――――…俺の腕だったから――――あの子の髪だけで…体には傷はついてなかったはすだ!温情があってもいいだろ!」
男は牢屋の格子を掴み刑を軽くしろと訴える…。
しかし、警備隊はその言葉を無視し牢屋を出ていった。
「――――成人した女性の髪を…切ったんだ…体に傷は無くても…心には相当傷がついた――――しかも、あの罵声だ……傷口に塩までねじ込みやがって…」
警備隊と一緒に牢屋から出てきたサンドラの従者は…
あの場の騒然とした光景を思いだし…後ろの牢屋で騒ぎ立てる男に苛立ちを覚えた。
「ここにサンドラ様がいたら――――…アイツ…死んでたな」
そう、呟くと――――…受け取ったメモを見てため息をついた。