
❇️片暉の残照❇️
第14章 赤い魔の手
「確かに――――お前の声は…美しいな」
サンドラ様は俺の声に耳を傾け――――首肯く。
「――――ありがとう…ございます…」
「だが――――それが…テイス嬢を拉致する理由にはならないぞ?」
確かに…テイス様には何の関係もない話である。
たが――――俺は彼女を拉致する理由を…語らねばならない。
「関係――――ありますよ?
テイス様は…ハジロ公爵様の実の子ではありません…。王族への足掛かりにするために…何処からか引き取った…底下位貴族の子なのでしょ?
たまたま…黄金色の髪を持っただけで――――…公爵家の養女となり、上手く行けば…王族へ嫁ぐ可能性だって……」
俺は――――自分が化け物になったことを……
実感する。
