
❇️片暉の残照❇️
第14章 赤い魔の手
は?
泣いて…いる?
誰が――――?
ふと…頬を伝う感覚に指を置くと――――…
冷たい水滴が俺の指に触れる。
「――――テイス嬢を犯す…と、言うわりには…心が何かを叫びたがっているぞ?」
「――――は?…サンドラ様…何を言っているんですか?俺は――――あの少女を…テイス嬢を…犯して!犯して――――!俺の…子を……俺の…子を…生ませるんですよ!
だがら――――サンドラ様は…汚れた女になど興味を持たず、婚約者をリストから選び幸せになるべきでは?」
俺は水滴を拭き取ると――――再びサンドラ様に向き…笑って見せた。
「――――賊が…テイス嬢を拉致したのは確かです……俺が犯さなくても、あの美しい髪と容姿だ…、片目でも幼女趣味の変態は今すぐにでも味見はするでしょうね…」
俺は彼女さえ主の目の前から消えてくれたら――――それで満足なのだ…
俺が捕まろうが…罰されようが…
ど~でもいい…。
「もう…手遅れかも――――しれませんね」
サンドラ様は――――主と婚約をするべきだと…
大声で叫びたかったが…
そんな事は…しない――――…。
俺が主から命じられたのは…
テイス嬢を――――目の前から…消すこと…だから。
