無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

どれだけ先輩が禰豆子ちゃんにナイフを振るったのだろう。
厨房の床にはおびただしい血溜まりが出来上がっていた。
痛々しい傷跡に、私は言葉を失った。


「死ねェェ！ この化け物！ 化け物！ 化け物！！」


先輩がナイフで切り裂きながら叫ぶ。
半狂乱でナイフを振るう先輩に、禰豆子ちゃんは凛々しい瞳で見つめると、ドンっと一歩踏み出した。


「ひっ！！」


それに驚いた先輩が恐怖のあまり、ナイフを取りこぼす。
ナイフはカシャーンと軽快な音を立てると、回転しながら床へと落ちた。


「……くそっ！！」


ナイフを取りこぼした先輩が拾おうとするが、その前に禰豆子ちゃんが落ちていたナイフを遠くへと蹴り飛ばした。
ナイフは勢いよく吹っ飛ぶ。


「うわあああ……」


唯一の武器であったナイフを奪われた先輩が奇声を上げながら頭を抱える。
逃げるように床を這う先輩に、禰豆子ちゃんは近づくと、ゆっくりと腰を落とした。


「ひいっ！！」


目を合わせる体勢に、先輩が引きつった悲鳴を漏らす。
禰豆子ちゃんは構うことなく、先輩と目を合わせ続けた。