テキストサイズ

箱……戎壹

第1章 目が覚めたら…


処置室から大部屋に移動したその日から――――…



私は、新生児の鳴き声にうなされた。



新しい命の産声が――――…こんなにも体にも精神にも来るとは思わなかった。


そんな中――――…


6日目…主人と姑が見舞いに来た。


お義母さんは新生児室の前で立ち止まり…大きくため息をついた。



「――――はぁ…あきらめなさい」



主人に言った言葉だったのだろうか……



主人は眉を寄せ…うつむいた。




「ごめんなさい……」



辛かった…そして、儚げな彼は…私と目を合わせなかった。




久しぶりの主人とお義母さんは、やけに私に優しかった。




しかし――――それが伏線だなんて…




私には知るよしもなかった…




ストーリーメニュー

TOPTOPへ