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奇跡を信じて

第15章 幸二の誤解

大地は入院をして一ヶ月になるが、唯一の楽しみは部屋のテレビで、ジャガーズを応援することである。ただし、大地の部屋は二人部屋のため、夜の8時までしか見られないのだ。


 「田村がここにも来たの?」と幸二が意味不明なことを言ったため、

 「ここにもというのは、どう言う意味だ?」と幸雄が尋ねた。

 幸二は、少し焦った様子で、

 「いや、別に意味はないよ。大地君、義姉さん、又、来ますから」と言い、幸二が出て行こうとして振り返ると、

 「兄貴、ちょっといいかな?」と幸二が言ったため、

 幸雄は、幸二の後を追い病室を出た。

 二人は、病室を出て、前の廊下を少し歩くと、

 「さっきの話の件だけど、ジャガーズの田村の事で、ある噂を聞いたんだと幸二が言ったため、

 「何だ、話してくれ」と幸雄が言った。

 「話すよ。確か二週間くらい前、俺が偶然、この病院のロビーの辺りで、ジャガーズの田村を見かけたんだよ。サングラスもかけずに、背も高かったので、他の人達も恐らく田村に気付いていたと思うよ。そして、ある女性が俺に、(あの人は確かジャガーズの田村選手ですよね?)と言ったんだ。俺は、まちがいないでしょうと断言した。すると、彼女は(最近、よく小児病棟に来ているらしいですよ)と言ったため、(見ず知らずの子供達にわざわざ会いに来ているのですか?)と聞くと、(最近、田村選手の人気も無くなってきているみたいだし、人気回復でもねらっているのかしらね)と言ったんだ。だから、さっき俺はそのように話したんだよ」と幸二は説明した。

 「ジャガーズの田村は、そんな人ではないよ」と幸雄が言うと、

 「何でそんな事が兄貴に分かるんだ?」と幸二が言った。












 








 

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