奇跡を信じて
第30章 7回裏、ジャガーズの攻撃
(実況)
「2アウト3塁で、田村が打席に入っています。1打席目はホームランを打ちましたが、2打席目は敬遠で歩かされています。次は勝負してほしいところです。6回からリリーフの亀田、第1球目を投げました。ボールはインコースの高めへ、田村は何とか避けました。そして、亀田、キャッチャーに2度首を振り、第2球目を投げました。ボールは田村の頭部へ直撃しています。ヘルメットが割れ、田村が倒れています。ジャガーズのベンチから選手が飛び出して来ました。そして、パイレーツからも選手が飛び出し、球場内は大乱闘となっています」
試合は20分間中断となり、ピッチャーの亀田は危険球ということで退場となった。
田村は何とか立ち上がった。監督が平田コーチを通じて、田村に代走を出すと言ったため、
「私は大丈夫ですから、どんなことがあっても最後まで出させて下さい」と田村は懇願すると、
「分かった。無理をするなよ!」
と平田コーチが言った。
そして、田村が1塁へ走るとスタンドからは大きな拍手、大声援が聞こえた。
しかしながら、七回裏のジャガーズのチャンスを生かすことができずにチェンジとなった。