不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第33章 大人になれない
お店に着くと、外で平野も瀬川くんも待っていた。
「わざわざ外で待ってたの?寒いのに…」
「大丈夫。それに平野が…(笑)」
クスクス笑って瀬川くんが言う。
平野を見ると、彼はおどけて言った。
「待ってないとアンナちゃん怒りそうなんだもん。先にぬくぬくしてんじゃねー!!って(笑)」
「よおく分かってるね平野!!えらいっ!!」
アンナは楽しげに平野の背中を叩く。
4人揃ってお店に入ると、大きな座敷に長いテーブルが並び、すでにたくさんの同級生が集まっていた。
もちろん、綾香ちゃんやコウヘイくんもいる。
「久しぶり~!」「元気だった?」
みんなとの挨拶もそこそこに座ろうとすると、離れた場所にいる男子から「瀬川!こっち来いよ~!」と声がかかった。
私を気にする瀬川くんに「大丈夫。行ってきて」と言うと、彼はうなずいて離れた席へ向かった。
私はアンナと隣同士で座り、近くにいた綾香ちゃんの取り巻きとお喋りを始める。
時折、こちらを気にして目線をくれる瀬川くんに嬉しくなりながら、平野の挨拶で忘年会が始まった。
「コウヘイくん、これ食べる?取ってあげる♪」
相変わらずコウヘイくんに尽くす綾香ちゃんを横目に、私もアンナも美味しいお刺身を頬張った。
「綾香ちゃん、デートどうだった?いっぱい奢ってもらった~?」
アンナが言うと綾香ちゃんは嬉しそうに笑った。
「うん!水族館に連れてってもらったの♪それで、これ…買ってもらったぁ~♪ふふふ」
携帯についたイルカのストラップを見せると、コウヘイくんは少し照れたようにおどけた。
「なぁんだ、コウヘイくんも…まんざらでもないんじゃん~?」
アンナが私の耳元でささやき、私もうなずいた。
…
スタートから1時間が過ぎ、飲んで歌ってのどんちゃん騒ぎが始まる。
本当は瀬川くんの近くにいたかったけれど、せっかくの同級生との忘年会を私も楽しんでいた。