不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第34章 付き合うことの意味
4人そろってケラケラ笑いながら座敷に戻る。
同級生たちは相変わらず飲んで騒いで盛り上がっていて、私たちを気に留めている様子はなかった。
改めて乾杯すると、アンナも平野もさっきの私の涙は無かったかのように明るく振る舞ってくれる。
「ね、ミライ。初詣は瀬川くんと行く…よね?」
特に約束していたわけではないので、私は瀬川くんを見た。
「行こうか」
彼は微笑み、私もうなずいた。
「アンナは?平野と行く?(笑)」
「そういうつもりで言ったんじゃないよお~~!!??」
「ふ~ん?じゃあ俺、1人で初詣いくの?」
平野がおどけると、アンナは「知らないし!!(笑)」
と言いながらも、まんざらでもなさそうだ。
「じゃあ4人でお参りする?」
私が言うとアンナは嬉しそうな顔をする。
「でも悪くない?邪魔しちゃあ」
「いいよね?」
瀬川くんに問いかけると、彼は「もちろん」と即答した。
わあい、わあいと喜ぶアンナを横目に、瀬川くんは私の耳元で「もっとこっち来て」とささやいた。
言われたとおり近づくと、彼は私の腰に手を伸ばして引き寄せる。
「どうしたの?」
私たちがこういう関係である事を知っている同級生は少ない。
「嫌?」
「ううん…ちょっと恥ずかしい(笑)」
こそこそ話す私たちに気付いたアンナが声をあげる。
「見せつけるね~~瀬川くん!!あっはっは!!」
その言葉に反応した数人の同級生がこちらを見ると、「え、マジで?」「そーゆー感じ~?!」「ヒューヒュー!」といくつもの声が飛び交った。
「この幸せ者ーーー!!飲めーー!!このやろ~!!」
向こうでコウヘイくんが叫ぶ。
瀬川くんはコウヘイくんに乾杯の仕草を送ると、ぐいっとお酒を飲んだ。
コウヘイくんも笑顔でビールを飲み干していた。
…
さらに時間が経ち、キスでもするかと思うほどの距離で瀬川くんと密着しながら、平野やアンナとゲラゲラ騒いでいた。
ふと、見覚えのあるような人影が見えた。
「あ。」
瀬川くんが声をあげる。
山下さん、だ…。