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不純異性交際(下) ―それぞれの未来―

第35章 失って気付くもの


「…急ぐことないよ」


「うん…」


帰り道、来月にでも新年会をしようという話で盛り上がったあとに解散した。


アンナは笑顔で平野と帰路についた。


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2月に入り、私はアンナと綾香ちゃんと3人でエレベーターに乗っている。


「今日、コウヘイくんは?」

アンナが聞くと、綾香ちゃんは少しうつむいた。


「来れないんだってぇ…残念」


「あらら。寂しいね」


「でも今度ね、横浜までドライブに連れてってくれるって約束したんだぁ♪」


初めての同窓会から1年と少し。


綾香ちゃんは根強くコウヘイくんを追い、尽くしてきた。


ほんの少しずつ進展する2人の恋路に、私もアンナも微笑んだ。



会場には平野も瀬川くんも既に来ていて、他の同級生たちと談笑している。


私たちも輪に入り、しばらくして新年会がスタートした。


忘年会とは違い、今日は平和に時間が流れていく。


最近私たちの関係を知った同級生からの質問攻めにあったり、またアンナと平野が漫才のように振る舞い、みんなで笑い合う。






2時間が経ち、平野が二次会の案内をすると皆だんだんと店を出ていく。


最終的に”いつものメンバー”が残り、「んじゃ…俺らも
そろそろ行きますか」という平野の言葉で立ち上がった。



先頭のアンナに着いて行くと、急に立ち止まるのでぶつかった。



「うわっ!ちょっとアンナ、…っ」


アンナは振り向きもせず、硬直したような表情で「やばい…」と小さく言う。


「な、…なにが?」


「あれ、コウヘイくんだよね…?」


目線の先には、カウンター席に女の子と2人で並んで座るコウヘイくんの姿があった。


しかも、肩を組んでべったりとくっつき、なにやら女の耳元で愛でもささやいているような風貌だ。



(綾香ちゃんが見たらショックを受ける)と瞬時に思い、慌てて振り返ると


そこには既に綾香ちゃんの姿があった…。


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