不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第38章 始まり
--…ピンポーーーーン
インターホンが鳴ると、大きなバラの花束が届いた。
「うわぁ!すご~い!」
「でかっ!」
添えられたメッセージカードには、
”祝・同棲スタート!バラ組&平野より”
と書かれている。
私は瀬川くんの住む町へ引越してきた。
瀬川くんはアパートを引き払い、2人で暮らすアパートを新たに借りた。
この2年をかけて私は少しずつ仕事を減らし、瀬川くんのアパートで家事をして過ごす日も増えていった。
今も仕事は続けているが、月に2回も地元へ出張すれば事足りる程度だ。
もちろん、その時は瀬川くんと一緒に”いつものメンバー”で遊ぶのが定番。
彼はここ数ヶ月、「教頭」と口にすることが増えた。
早ければ5年後くらいには教頭に就任できるかもしれないと、日々の努力を惜しまない。
この地に身をうずめる覚悟を感じた上で、私はこの町へやって来た。
「人生、なにがあるか本当分かんないな」
…
平凡に、退屈に過ごしていても、今日、明日、なにかが起こるかもしれない。
人生の分岐点は突然訪れる。
あるいは、予想もしなかった恋に落ちて闇に迷い込んでしまうこともある。