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ドSな兄と暮らしています

第6章 汐夏の挑戦


夕食を作ってから兄ちゃんが帰ってくるまで、勉強しようと思ったのに、いつの間にかリビングで寝落ちしていた。

兄ちゃんが帰ってくる頃に起きて、一緒にご飯を食べてから気づく。

……待って、やばいぞ……。今日、毎日出される10問終わってなくない???

兄ちゃんは洗い物をしている。

私はそっとノートと教科書を取り出すと、教科書の付箋のページを開いて、急いで解き始めた。
……大丈夫、まだ兄ちゃんは洗い物をしている。
いくら短くても30分は風呂に入るはず。

兄ちゃんはせっせと問題を解く私に気づいた。

「お、焦ってやってる子がいるぞ」

ドキッとして見上げると、兄ちゃんがニヤリと笑う。

「三日坊主のしおにしては、ここまで調子良かったんだけれどなぁ」

「ぐぬぬ……」

急いでペンを動かす。
いや、どうしよう。焦ってると全然解けないものなのね。

「風呂上がりが楽しみだなぁ」

兄ちゃんは不敵な笑みを残して、去っていく。
私はドキドキとしながら問題と向き合う。

『お仕置だけはいやだ……!』

だってどうなるかわからないもん、兄ちゃんそれなりに厳しいし、鬼みたいに怖い時あるし。
そう思いながら、頭をフル回転させるも、上手く頭が回らない。



無常にも、風呂上がりの兄ちゃんと共にタイムリミットはやって来る。

「しお〜、終わったか〜?」

あと3問、あと3問だったのに……
私は潔く、ペンを置いて、覚悟を決める。

「終わらなかった……です……」
「あと何問?」

兄ちゃんが横からノートを覗き込みながら、私の隣に座った。緊張で背筋が伸びる。

「さ、3問です……」
「ふーん、じゃあ、それ今解いて」

諦めがつくと意外とすんなり解けていく。
10分くらいで全ての問題が終わって、兄ちゃんと答え合わせをしていく。
ミスもいつもより多めだ。

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