3度目にして最愛
第2章 2度目は絶望
倹約家の水城と金銭感覚はほぼ同じで、生活スタイルも似ていて、腰が低く、男のひ弱な精神力を除けば二人は似た者同士だった。
セックスにトラウマがある事は黙っていようかと思ったが、同棲がスタートし、次第にスキンシップも多くなると言わない訳にもいかなくなった。
「水城さんの心の準備が出来るまで、俺、待ってます」と返ってきた男の台詞は、水城の心の原動力そのものになった。
男が清楚で可憐な服が好きだと言えば、普段履かない白いスカートや淡い色のワンピースを買い、性嫌悪症を克服する為に自ら婦人科にも通った。
器質的な疾患が無いと分かり、カウンセリングも真面目に受けた。
何とか前戯までは出来るようになったものの、いつも挿入となると恐怖で身体が強張り、それでも「いいよ仕方がないからね。」と言いつつも、少し残念そうな表情を見せる男を早く受け入れたかったからだ。
丸々1年も経過すると、それは水城の中で一種のプレッシャーのようなものへと変化したが、カウンセリングに毎度一緒に同行し、将来は結婚して新築の一軒家に住みたいと未来を語る男もきっと耐えているのだろうと水城は思っていたから我慢が出来た。
ところが、事実は既に彼女の思わぬ方向へと進んでいた。