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「そろそろ、一夏さんとの関係を終わりにしようかと思ってます」



予想通りの言葉が返ってきて、私は落胆の色を隠せなかった。

しかし、仁美の立場を考えると、引き留めるのは私の身勝手だと思えた。



「そうか、今まで苦しい思いをさせて済まなかった」



「いえ、苦しいだなんて……、楽しかったし、気持ち良かったし。

初めて男の人を好きなったし、きっと、次に誰かを好きになった時、この経験は活きてくると思います」



加恋、由紀恵、そして仁美までもが私の元を去ろうとは……。



私のハーレムは跡形もなく消え去ろうとしているのが実感できた。




莉奈に気づかれぬように仁美を送り出し、私は乱れたベッドを整えると、リビングでビールを飲み始めた。



莉奈は、ゲームに夢中だったが、私がビールを飲み始めると、「あ～！　パパだけズルい」と騒ぎ始めた。



「わかったわかった、冷蔵庫からアイスをとって食べて良いから」



私の許可を得ると、娘は小躍りしながら冷蔵庫からアイスを取り出し、私の向かいに座り、カップ状のアイスクリームにスプーンを差し込んだ。




「ただいま～」



その時、華菜と麻理が帰ってきた。

「まあ、あなた！　莉奈にアイスを食べさせてる」



「一夏さん、こんな時間からビール飲んでー」




娘に勝手に間食させると華菜は怒るのだが、口ほどに起こった様子は見えなかった。

むしろ、上機嫌だ。



「なんだ、随分と機嫌が良いじゃないか」



「だって、休日にゆっくり出かけるのなんて、久しぶりなんですもの」



たしかに、私が愛人と浮気している間も、華菜は休みなく家事に育児に追われていたのだ。

今更ながら、申し訳ない気分になった。



「そんなに楽しかったのなら、これからも時々出かけると良いよ」



「うふふ、一夏さんって、お姉さんの事が大切なのね」



そういう麻理の目は、違う言葉を投げかけているようだった。