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異世界転生しなくても美女とハーレム

第6章 天敵あらわる

「ところで麻理ちゃん……、どうしてお冷しか飲まないんだい?」

今日、私は先日知り合ったJDの麻理と居酒屋で飲んでいた。
渋谷の安居酒屋なのだが、店内は若者で溢れかえっていた。そこへオッサンと、誰もが振り向く美少女がテーブルを囲んでいるのだ。

明らかに浮いている存在だと、痛いほど自覚している。

今日は、麻理が先日のお礼に、アルバイト代が入ったから奢ってくれるというので半ば無理やり付き合わされていた。

「あ、わたしは飲んじゃうと寝てしまうから、お水で良いんです」

「せめて、ウーロン茶とかジュースにすれば良いのに、もしかしてお金のことを心配してるの?」

「はい、もし足りなかったらいけないので、わたしは水で我慢します」

こういう事を、ごく自然にかつ平然と言い切るところが、麻理の恐ろしいところだ。

「いや、でも麻理ちゃん、それじゃ僕がケチってるように見られるんだよ」

そう言うと、麻理は「どうして?」といった表情を見せる。

「君はまだ学生なんだから、君にご馳走してもらうのは悪いよ、せめて割り勘にしてくれないか?」

「でも、この間、あんなに美味しいものをご馳走していただいたのに、それじゃ、わたしの気が済みません」

「ありがとう、気持ちだけ受け取っておくよ。
そうだ、少しだけならアルコールも大丈夫だろ。
僕も一人で酔うのは寂しいから付き合ってよ」

まだ納得できていない表情だが、渋々承諾してくれる。

「分かりました、じゃあ、サワーでも頼みます。
あ、田中さんもグラスが空ですね、何を頼みますか?」

私はハイボールを注文し、麻理はレモンサワーを注文する。

「じゃあ、あらためてカンパ~イ」無邪気な笑顔を振りまきながら麻理がグラスを掲げた。


あらゆるエロさを無効にする麻理のスキル『無垢』。麻理は、私のスキル『煩悩』にとって、まさ天敵ともいえる存在だ。

「田中さん、今日はわたし、絶対に寝ませんから」

彼女が何を言わんとしているか、分かっている。

「それに、この辺ってラブホテルがいっぱいあるんですよ」




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