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変態ですけど、何か?

第11章 淳也

あたしが、涙ぐんでいるのに気付いて、淳也が慌ててタバコを消した。

「ごめん!やっぱり煙たいよね?」

「大丈夫。タバコのせいじゃないから。
ちょっと、昔の事を思い出して・・・。
その人も、タバコを吸うときは、いっつもあたしにかからないように、反対向いて煙を吐き出してくれた・・・」

「そうなんだ。・・・愛してた?」

「うん、スゴく、愛してた」

「ちょっと、嫉妬しちゃうな。その男に」
淳也が俯いて、つぶやくように言う。

『勘違いしてる!』

あたしは、また可笑しくなって、笑う。

「あはっ!女だよ。その人」

淳也は顔を上げて、あたしの顔を見た。

「そう、なの?」

「うん」

「里帆って、レズなのか?」
あたしは、淳也の言葉に、少しイラッとした。

「男とか女とか、そんなんじゃなくて、
人として、とっても尊敬してたし、愛してたの」

「そうなんだ・・・。ごめんよ、無神経な言い方して。
でもさあ、女だったとしても・・・、やっぱり嫉妬するなぁ。里帆にそんなに愛されてたなんて」

「・・・」
あたしは、黙っていた。

「こんなこと聞いちゃいけないんだろうけど、
どうしてその女性と別れたの?
そんなに愛してたのに・・・。
あっ!ごめん。大きなお節介だった」

淳也の素直な言葉に、あたしの気持ちがほぐれていった。

「ヤキモチ妬かなくても、大丈夫よ。
その人には・・・、二度と逢えないから。
お星さまに、なっちゃったから・・・」


そう言ったとたんに、あたしの中で、何かが弾けた。
堰を切ったように、涙が溢れてくる。

玲子!
やっぱりあたし、寂しいよ!
もう一度、逢いたい!
玲子に抱き締めてほしい!

俯いて肩を震わせるあたしを、淳也がそっと抱き締めた。

「好きなだけ泣いていいよ。
その人の代わりにはなれないけど、
里帆が寂しいときには、いつでも駆けつけるから。
そのくらいは、許してよ。
ね?」

あたしは淳也の腕の中で、何度も頷いた。



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