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変態ですけど、何か?

第11章 淳也

「そうはいかないよ。女装の変態野郎だけど、デート代を女にタカるほど、落ちぶれてない」

あたしは、吹き出しそうになった。
だって、あの日と同じセリフなんだもの。

「そうなの?じゃあ、回る方でもいいよ。
あんまり無駄遣いしてお金無くなったら、デート出来なくなるし」

あたしは、言った。

「ラッキー!助かる。その代わりさあ、ボーナス出たら、何かプレゼントするから!」

「ホントに?楽しみにしてる!」

外に出ると、街は家路を急ぐ車で渋滞していた。

「ついてないなあ!」

淳也が言う。

「仕方ないよ。ノンビリ行きましょ」

あたしがなだめた。

「あのさあ、里帆。
これからも付き合ってくれるのか?

って言うか、僕たち付き合わないか?」

恐る恐る尋ねる淳也。
そういう所、けっこう好きかも。

「あら、あたしたち、まだ付き合って無かったの?」
あたしは答えた。

ホントをいえば、付き合うとか付き合わないとか、全然考えてなかった。
世間で言う、セフレみたいな感覚。
気が向いたときに逢ってセックスを楽しむ。
ただ、それだけ・・・。

でも、今日二回目のデートをして、気持ちが少し動いていた。

いろんな男と経験してきたけど、一回寝ると恋人と勘違いする男ばっかりだったから、
あたしには新鮮に感じたのかもしれない。


回転寿司を食べ、淳也は家の側まで送ってくれた。

「じゃ、また」

あたしが家に入ろうとすると、淳也が言った。

「やっぱり、これからも他の男と寝たりするの?」

「わからないわ。自分でも」

「そうか・・・。でも、隠し事だけはやめような。僕も、もし他の女を抱いたら、絶対に里帆には隠さないから。
それで、構わないか?」

あたしは頷いた。

「いいよ、それで。とにかく、お互いを拘束するのはやめましょう」

「わかった。じゃ、また」

あたしは見えなくなるまで、淳也の車を見送った。


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