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変態ですけど、何か?

第14章 同棲

浴室から出ると、靖子はあたしをソファーに座らせて、髪を乾かしてくれる。

「綺麗な髪。ツヤツヤしてて・・・。やっぱり、若いのねえ」

靖子が呟く。

ドライヤーをあてながら、髪を撫でる靖子の手は、すごく気持ちいい。

あたしは、ふとママを思い出す。

両親の離婚の時、あたしはパパと暮らすことを選んだ。

それ以来、ママとは会っていない。

最後の日、何か困ったときは、ママに相談するって約束した。

でも、ママからの手紙も電話も、あたしに届くことはなかった。

何度かパパに、ママの連絡先を聞いたことがあったが、わからない、知らせてもらってない、と言うばかりだった。

普通の娘なら、もっといろいろな手段で知ろうとしたのかもしれない。

結局あたしは、ママに会うことを、心から望んでいなかったのかも知れない。

ママが居なくなった日に、パパと結ばれた。

そして、間もなく玲子先生に憧れ、
ほぼ同時期に秋野玲子との関係が出来た。

そして、今は靖子とこうして暮らし始めている。

ママの存在が、あたしにとって大切なものではなかったから、そうなったのか、

ママが居ないと言う心の隙間に、彼女たちが入り込んできたのか、
自分でも、よくわからない。

ただ、靖子の指の柔らかさや、手の温もりが、ママを想起させていた。

「ママ・・・」

無意識のうちに、その言葉があたしの口からこぼれた。

「何か言った?」

靖子が問い返す。
ドライヤーの音で、よく聞こえなかったらしい。

あたしはちょっと、ホッとした。

「ううん、何でもない。靖子、ありがとう」

あたしは言った。

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