
仔犬のすてっぷ
第11章 最初の、すてっぷ
・・・み、見られた……かも?!
僕の、傷痕。
「・・・そんなカッコしたら、めっちゃ色っぺー♡」
またまた僕はひっくり返ってズッコケる。
彼のペースが続くと、こちらは休む暇もない(苦笑)
「み……見たの?!」
「何を?」
「み、見えて…無い…の??」
「うーん…流石に、パンツが邪魔でアソコは……」
「見えて、ないんだね?!」
「見せてくれる気になったのか?!」
ずいいいっ!と体ごと一気に近づく蒼空の顔面に左パンチをめり込ませて、彼の突進を止めてから、僕はほっ…とため息をついた。
ふう……彼が予想以上にノーテンキで助かった。
とりあえず、帯を拾って立ち上がり、浴衣を直して整えようとした時だった。
「……右胸の根性焼き3つ。左の胸の下と左内脚の焼印みたいな火傷の痕。
それが、裸を見せたくない本当の理由なんだな?」
蒼空のその言葉を聞いて、僕は固まった。
そして、怒りが込み上げてくる。
………誂(からか)われた…?
いちばん、触れられたくないところを。
家族みたいに思っていたやつに。
「・・・なんだよ?見たんじゃないか……
見たんなら、見たって言えばいいじゃないか。
…それとも、同情して、言わなかったのか?」
「……同情?なんだよ。それ?
そんなにその疵を、『可愛そうだ』って、言って欲しかったのか?」
ふん、と小さく鼻で嘲笑った蒼空は、ゆっくり立ち上がり、ガリガリと面倒くさそうに頭を掻いた。
「……じゃあ、こっちも聞かせてもらうぜ?
もし、始めっから『見た』と言ったら、優希は、どうしていたよ?」
「そ、それは……」
それは、多分……やっぱり気分を悪くして、蒼空に食って掛かる・・・。
「あまり状況は変わらない。俺にイチャモンつけて、機嫌を悪くしてた。違うか?」
