
仔犬のすてっぷ
第17章 予期せぬ来客
「僕も一応男のコなんだけどな〜…」
ちょっぴり複雑な心境でそう呟くと
「それはもちろん分かってるよ?だから、お付き合いを申し込んだ…んだ…からぁ……」
支離滅裂になり、最後の方は赤面しながら下を向いて話す奈緒ちゃんがとても可愛らしく感じられた。
この子は、見ている限りでは女の子同士…友達の中にいてもいつもこんな感じで。
ナチュラルなぶりっ子だと言われればそうかもしれないけど、今まで見てきた女の子達とは全然違っていた。
(……もしかしたら…こんな僕にでも、ちゃんと向き合ってくれる、貴重な女性なのかもしれない……)
「・・・・・こんな僕でも良かったら…」
始めはこんな感じで付き合いを始めたんだ。
その後、専門学校を卒業してからも、健全なお付き合いは続いていて。
流石に手を繋いだことはない、なんて事は無いけど唇同士のキスまではしていなくて……。
蒼空と出逢う2日前に、デートの後の帰り際に
「・・・私達……付き合い出してからそろそろ三年だよね?
私って・・・魅力、無いのかな?」
そう言われてしまって・・・。
色々悩んでいたんだけど、答えが出ないまま蒼空との騒動に巻き込まれて……正直、悩むのを忘れていた。
その彼女が今…僕の前で戸惑っている……。
「・・・どうした?」
そんな僕の様子がおかしい事に、いち早く気がついたのは蒼空だった。
テンパり気味でカチコチになっている僕にすっと近づき、耳打ちする。
「そ、蒼空…奈緒ちゃんが・・・なおちゃんが、来ちゃって…奈緒ちゃんが・・・」
「なおちゃん?」
ア△ラン・ザラに手を取られ、部屋の中央の円卓へ案内される彼女を蒼空も確認した。
「あの子が優希の彼女?
・・・・・俺がイメージしてたのと随分違うな」
「イメージって・・・どんな女の子を想像してたんだよ?」
「・・・もっと、こう……イケイケで、グイグイ迫って有無を言わさないリードするよーなタイプ、だな」
・・・・・・そんな子…。
確かにそんな子だったら、多分こんなに悩まずに済んで楽だろうけど、なぁ…。
