
仔犬のすてっぷ
第20章 奈落のなかで・・・(Hシーンあり〼)
「・・・そうねぇ…あの子は、とても可愛いわ。なんでも私の言うことに相談に乗ってくれたし、私を求めて来ることもあったし…ね。
だけど、彼女は同性だから、私の愛があの子を満たすことも、その逆も、ありえない事よ」
・・・・・。
全否定……彼女の気持ち…判っていて、コレか。
里香さんの気持ちは……報われない…のか……。
「…里香なんて、どうでもいい。
私は、あなただけが、欲しいって言ったでしょ?私の愛は、それで十分なのよ!」
「・・・・・・人の気持ちを分かろうとしない・・・
そんな人を、僕が好きになる事はありません。それは、貴女だって分かっているでしょう?」
小学生時代に、僕を含め、父親が働いていたあのカーペット会社で働くために引っ越してきた人達が、余所者扱いを受け、邪険に扱われていたのを、彼女が知らない訳がない。
あの会社が建っている場所は、地主である明美の親父さんの所有物件だからだ。
その事で、随分村人達の反感を買っていたのだから、当然彼女への風当たりも強かったはずだ。
「子供心に、自分が村の人達に嫌われていた事・・・
僕が気が付いていないフリをしていただけで……
どれだけ心が傷つけられた事か。
他人をすぐ余所者扱いし、相手の気持ちを考えない、そんな人達は…僕は大嫌いです。
貴女を励ましたあの時の僕は、明美さんが地主の娘さんだなんて知らなかった。
だから、きっと……
虐められて悲しんでいた明美さんを見た僕は…自分の事のように感じて・・・そうやって子供なりに励ましただけだったんだと思います」
「・・・ずいぶんご立派な説教ね……
結局、アナタたちは私から逃げただけ。
そんな輩に何を言われても響きはしないわよ」
