
仔犬のすてっぷ
第24章 仔犬達のワルツ2 潤 VS 屈強な大男
ひゅ〜〜ん……と音がしそうなほどの速度で放り投げられた潤は、運良く山積みの段ボールと木箱の山に突っ込んだ。
ーー ずどおおんっ!!
それでも、半分気を失った状態で落ちたので受け身もあまり取れず……もはや、反撃するのは難しい状態になっていた。
「・・・くっ……こっ……これまで…か……」
「さ、さあ…こ、今度はちゃあんと顔、つ、つぶしてあげるんだな」
またガッシリと潤の顔を掴んだ清は、彼を持ち上げてから、握る手に力を入れた。
ーー みしり…みし、みしっ!ギュッ…ミシミシミシミシ・・・・・・
「ぅ…あ゛……あ、があぁ・・・あ、あ、あ…」
だらん…とぶら下がる手足には力が入っておらず、されるがままに頭を絞め上げられる。
「…メロンならこの辺りで砕けちゃうんだよ、兄さん」
「……だ・か・ら…モノマネは……やめ…ろ…」
「カカロット!だから貴様は甘いんだ!メロンより、ずっと甘い!」
「・・・・・・・・・テメ…ぇ……なら、使っても……いぃ・・・す、スクリ…プ…ト……」
かちっ☆
何処かで、何かのスイッチが入る音が聞こえた。
「また、1つ覚えの電撃!?君がここまで学習能力の無い人だなんて……チェーンはすでにアースになるように地面につけてあるんだ。アレは無駄だよ?」
「……燃えろ……俺の、拳・・・」
シュウウゥ……ぼっ…
潤の右の手甲から、青白い火の手が上がる。
だが、清には死角になっていて右手は見えていない。
「…お前のモノマネは…ぐっ……俺達を侮辱してる……があぁ……許せねぇな…」
「許せない?そんな事は僕を倒してから言うんだね」
「・・・俺の…拳が……真っ赤に、燃えるッ!」
青白く燃え始めていた右のサンドグローブがモココっ!と膨れだし、手甲からは板のような物がゆっくりと伸びてくると、手首から前の、拳の部分を潤から隠すように展開する。
展開が終わった拳は、緩やかな青い炎から激しい紅い炎へ変化した。
「…あれ?燃えてないかい?君の右手・・・」
「ああ、見ろッ!紅い、熱い、俺の炎だっ!」
ジャキッ!と清の前に拳の甲を構えてみせた潤は、
「・・・お前を倒せと轟き叫ぶッ!ロイヤル・ガードぉ・・・」
