
仔犬のすてっぷ
第28章 仔犬達の・・・
・・・・・・・・・。
ーー つつっ〜〜…っ
コチラを見た蒼空の鼻から、赤い筋が伸びて垂れて、ぽたりと落ちた。
「……え?!な、なに?は、はなぢ?!君、な、なんで………」
「ゆ、優くうぅ〜〜んっ!バスタオル、はずれてるよお〜〜?!」
「……え?・・・あ゛!」
奈緒ちゃんの声を聞き、自分の腰の下を確認した僕は……慌ててワイシャツをグイッ!と引っ張り下ろした。
さっきよろけながら階段を駆け降りた時に、階段の手すりに引っ掛けて外れてしまったらしい。
「優希・・・俺が…戦っている姿に…そぉんなにこ〜ふんしてくれてたんかあ?」
「え?いや、これは、それじゃなくてこーなってるわけで、きみのやられてるすがたにもだえているわけじゃあないってゆーかぁ……こらあ!さわろーとするんじゃないって!」
まったくダメージを感じさせないほどのスピードで すちゃっ! と立ち上がった蒼空は、そのまま僕を抱き寄せようとしながら下半身へ手を伸ばしてくる。
「わかった!あのオッサンさっさとブッ倒していっぱい慰めてやっから、な?」
「だからあ!コレはそんな…ああぁ〜…♡
駄目だよおぉ〜…はあぁ〜…いま、メッチャ感じやすくなっ…ふう…ん…なっててええ〜…」
軽く身体に触れられただけでぞくぞくっと肌が立ってしまう状態なのに、さわさわっ…とアソコを撫でてきた蒼空の悪戯に思わず声を上げてしまった。
「・・・・・(汗)お前等……人の話、聞いてないだろ?」
戦いの最中に目の前でコントのようなやり取りを見せられたトーマスは、子供の失敗した落書きのような顔で蒼空を見て話した。
「ワリイ…ちゃんと聞いてたぜ?ガードは……上手く言えねぇが、蹴りを出そうとした瞬間に
“ガードしなきゃ” って気になった、って言うか…
“降りてきた” って感じがしたんだよな」
頭をガリガリ掻きながら話す蒼空を見たトーマスは、口元をニヤリと歪め、ファイティングポーズを取った。
「…そうか♪そいつは多分、坊主の中の戦いの感が働いたんだな……。
イイねえ……そういうのが、欲しかったんだ、俺は」
