
仔犬のすてっぷ
第31章 激突する、LOVE IT
「「「潤っ!」」」
力を発揮する、その直前………。
完全に隙だらけの霧夜の真ん前に、黄色と赤の塊が空から……いや、工場の天井からドンッ!と音を立てて降ってきた。
「ひいぃっさあああぁーつぅッ!ラアアイジンングッ・フィンガアアアアァッ!!」
がばあっ!と霧夜の胸ぐらを掴んだ赤と黄色のスーツを着た男が、あらん限りの大声で高らかに叫んだ。
バリバリバリっと掴んだ両手から、激しい電光が走り、水銀灯が所々に点いているだけの薄暗い工場内を明るく照らし出す。
「…が、ああっ!?な、何だ、貴様?!いきなり……いいっ!何をす・・・」
「…問答無用ッ!…スパアアアアァァクゥ・エエエエエエェンドッ!!!」
ーーー ズドバアアアァンッ!!
激しい電撃が霧夜を包み込み、炸裂した。
「……やあっ☆待たせたな、みんな!」
しゅうううぅ……っと焦げ臭い煙をなびかせて、半分赤色、半分黄色のタイツのような服、両腕にロボットの腕のようなアーマーを装備したヒーロー…………?
いや、頭の毛がアフロみたいにちりっちりになった潤が親指を立ててポーズを…決めて………。
ぷっ!
だーっはっはっはっはあっ!!
その場にいた、攻撃を喰らった霧夜と、相田博士と夏美お姉ちゃん以外の人間が大爆笑の渦に巻き込まれた。
「な、なんじゃ、その頭は!」
「潤くん…ごめんっ!流石にそれは……」
「馬鹿だなあ、だから “爆裂” は使うなって言ったじゃんかぁ」
「いっ…いや、な、なかなか似合って……」
「ごっごめ…でもっ…我慢できな…」
僕を含む男どものコメントは、その後の爆笑に更に繋がり、幸お姉ちゃんと奈緒ちゃんとサラさんは笑いを堪えるのに必死になり、眼から涙を出しそうな感じになっていた。
「わっ……笑うなよっ!こっちは色々大変だったんだからなっ!」
必死に笑いを抑えようとする潤も、内心はやはり恥ずかしいのか…顔を赤くしながら怒鳴り散らしている。
