
仔犬のすてっぷ
第31章 激突する、LOVE IT
そんなこと……
出来るはずがない。
だけど……このままじゃ、奈緒ちゃんが……
…考えるんだ!
何か……手が、あるはずなんだ。
何か……
『おい、嬢ちゃん』
僕の肩に手を置いたトーマスの “声” が聞こえる……
…って、いつの間にこんなに近くにっ?!
『……そんな事はどうでもいい。それより、今から俺が考える事を読み取るんだ。
このままだと霧夜にこの場の人間が皆殺しにされるだけじゃ無く、嬢ちゃんとあの子が霧夜によって別世界の未来へ連れ去られてしまう。
そうなってしまったら、俺がココ(この世界のこの時間軸)へ来た意味が無くなっちまう』
そう、トーマスの声が聞こえた後……初めて力が発現した時の、あの風景が……
殺し合うトーマスと仲間。
白い布を被せられた、僕によく似た女性……
仲間同士、酒を酌み交わし、それを暖かく見守り、優しく微笑む…僕によく似た女性……。
それが一瞬で僕の頭の中を横切っていった。
……じゃあ…僕が見たあの情景は……トーマスの………
『…何が見えてしまったのかは俺には分からないが……多分、あちらの世界の情景や俺の思い出…と、いったところだろう。
お前さんの考える通り、俺は平行世界…異世界の未来から来た人間だ。
あちらの世界は、こちらの世界から連れてこられ、洗脳され、操り人形になったお前さんの力を利用した武闘派一派によって壊滅されてしまう事になっている。
俺はそれを阻止するために派遣された…エージェントみたいなもんさ』
・・・人は、見かけによらずって言葉はトーマスのためにあるんじゃなかろうか?
えーじぇんと?悪いけど…確かに、強いけど。
…っていうか、僕、世界を滅ぼすような力をもってるの?!
驚き桃の木山椒の木…
『確かに今の嬢ちゃんにはそんな力は無い。だが、武闘派の連中にいくつかある事をされて精神崩壊した時にその力が発現してしまってな。
これ以上詳しい話は、またにして……
とにかく、今奴を完全に止めておかないとココから自力で出たアイツは間違いなく平行世界へ嬢ちゃん達を連れ帰ってしまう。それを阻止するために……』
(…阻止するために??)
『嬢ちゃん。俺にディープキス、してくれ』
な、な、な!?
何イィーーーーーーーーー!?
