
仔犬のすてっぷ
第34章 事件が終って・・・
翌日・・・
朝。
豪華なVIPルームで目を覚まして
先に目覚めていた奈緒ちゃんは
昨夜のことを思い出しているのか・・・真っ赤な顔のまま俯きながら
「おはよう・・・」
と、声を掛けてきた。
「・・・お、おはよう……」
僕だって……昨夜の事は…思い出したら顔は赤くなっちゃうよ…やっぱり。
「「あの…」」
二人同時に同じように声を掛けようとしてハモってしまった僕らは、再び俯いて黙り込んでしまう。
(……うわぁ…ど、どうしよう……なんて声を掛けたら良いんだ?)
普通に付き合って、初めて初夜を過ごした後も……恋人同士はこんな感じになっちゃうんだろうか?
と、とりあえずは……
聞いてみたいことを、素直に言ってみよう。
「・・・体は……もう、大丈夫?」
「・・・うん……大丈夫だよ」
「……どこか…痛いとか、苦しいとか、そんな事は無い?」
「うん・・・大丈夫。だけど……胸がもやもやしてるっていうか……違った意味で苦しいかも…」
僕はゆっくりなおちゃんの方を向いてみた。
奈緒ちゃんはすでにこっちを見ていて……顔を赤らめたまま、話を始めた。
「薬はすっかり抜けたみたい。体は本当に……何もなかったみたいになんとも無いよ?むしろスッキリしたっていうか……清々しい感じ…かな?」
良かった……元通りになったのなら、身体の心配はもう、しなくて済みそうだね。
「優くん…ごめんね?私……昨夜は・・・」
「ゆっ…昨夜のことは気にしちゃ駄目だよ。僕は全然大丈夫だし、僕は奈緒ちゃんとひとつになれて……あんな形だったけど、でも、いつかはちゃんとそういう関係になりたいって思っていたんだから…男の子としては、むしろ嬉しい・・・」
「優しいね、優くんは。本当に、優しい…」
奈緒ちゃんの瞳から、一筋の涙が溢れた。
「奈緒ちゃん…?」
「薬のせいにしてるけど、あれは…私の本音…私の正体…私の内面が全部表に出てきた…私はエッチで気持ちいいことが好きで、優くんを押し倒してでもそうしたかった。ずっと、欲しがってたんだもん……最低だよね・・・」
そんな、そんな事は無い。
確かに始めは驚くこともあって。
・・・でもっ!
最低なんかじゃ、ない!
