
仔犬のすてっぷ
第35章 仔犬達の宴のなかで (エッチシーンあり〼)
・・・・・。
うそ。
あれ、ほとんど全部食べちゃったよ……。
ハンバーガーはともかく、ポテトやナゲットだって相当の量があったはずなのに……。
サラダだって、小鉢によそった分だけじゃなくボウルにある分の殆どを彼はぺろりとたいらげてしまったのだった。
(…そりゃあ、残されるよりきれいに食べてくれるのは嬉しいし作りがいもあるけども……)
「ふ〜っ…喰った食った☆もう、食えねえ」
お腹を押さえながら満足そうにそう言う彼’を見るのは悪くない。
でも、ちょっと心配になってくる。
「……いや、早いし。よく噛んで食べてる?」
僕なんて、今やっと食べ終わったところだよ?
「…んまあ…正直言えばそこら辺は考えたことないし。美味いものを腹いっぱい食えりゃ、俺はそれで良いんだ」
男の子らしいというか、まあ……あんまり小言を言ってもつまんないだけだし、このふんわりとした雰囲気を壊したくなかったからこれ以上は何も言わないようにした。
「……あとはシャワーして寝るだけだな、優希」
ご機嫌でそんな事を言う蒼空に、僕はそうだね、と言って頷くと
「覚えてっか?初めて俺がお前に壁ドンした時のこと?」
台所の…それをした場所あたりをちら見して彼は苦笑いしながら話し出した。
「あん時はお前を女子だって本気で思っていたからさぁ……鼻血出して笑われた時は結構ショックだったんだぜ?あ〜あ、やらかしちまった!って、な?」
「…そうなんだ?あんまりへこたれていないように見えたんだけどねぇ」
グイグイ来る感じを逸らすために鏡を見せつけたんだけど…僕から見れば、あの時の蒼空はケモノみたいにギラついていた…ような気がする。
「むしろ、あの時は僕を男だって解ってもらうことだけに必死だったから。
・・・まあ、君には僕の性別は結局どっちでも良かったみたいだけどさ〜…」
「どっちでもいいっていうか・・・お前だから良いんだよ、優希」
