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仔犬のすてっぷ

第2章 出会い



 なんとか、自分の部屋へ運び込んだ彼は
明るい所で見ても、やっぱり高校生に見えた。


(一般的に、こういう人をイケメンって言うのかもな……)

 雨でベタベタになり、黒髪も崩れて、クシャクシャだ。
なのに、それすらをも味方につけて、格好良く見えてるなんて、僕から見たら羨ましい限りだ。
(僕が同じ状況だったら、プールから這い上がってきた溺れかけた子供にしか見られないんだろうし(汗))



・・・おっと!見惚れてる場合じゃ無かった。

このままじゃ風邪ひかせちゃう。


 まずはワイシャツを脱がせて、体と頭の水気を取る。


(これだけの事をしても起きないなんて……)

 他人にこんな事をするなんて、今までに無かったから、結構乱暴に扱ってしまっているだろうに…タオルで頭をワシャワシャしても、彼は目を覚まさなかった。


 やや細めだけど、しっかり筋肉がついた体には、所々に痣らしきものがあり……



(うわ…痛そう……。こんなにアザをつけてるなんて……もしかして、虐待?!)

 痛むと気の毒なので、タオルは軽く当てるようにしながら体を拭いた。


下は…
ベタベタのズボンを脱がせ、トランクス姿にさせた時点である事に気付く。


(あ…代わりに履かせるズボンが……)

お腹周りは僕とはあまり変わらなさそうだけど…脚の長さが違いすぎるだろ、これ!



…ま、まあ、いいか。
とりあえず、自分の寝間着代わりのロンT着せて、短パンのスゥエット履かせよう。



 そう決めたら、素早く脚を拭き、服を着せた。
 トランクスは………濡れているけど、代えなきゃいけない程と言うか……
そこまでは濡れて無いし…この人も、多分他人の物なんか履きたくは無いだろうし…という理由で、そのままで我慢してもらう。




 なんとかベッドに彼を寝かせると、僕はコンビニで買った夜食のカップヌードルを食べて、一息ついたのだった。



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