
仔犬のすてっぷ
第37章 仔犬のすてっぷ
ここは令和2032年。
同じ年号を持つ、別の世界の日本。
僕と同じ名前の林原優希という女性が、一時的に日本を治め、指導者として、そして荒れた心を癒やすマスコット役としても存在していた世界…。
そんな世界にひょっこりやってきた僕達は、意外にあっさりこの世界の人々に受け入れられてしまった。
まあ、亡くなってしまった彼女の代わり、というわけではないので扱い的には客人みたいなものだったし、彼女ほど「力」が上手に使えないままの状態だったから色々と文句をつけてくる輩もいたんだけど。
その、力を発揮できるようになるように僕も蒼空も日々訓練を受け続けていた。
・・・驚いたのはこの世界に来たのは僕と蒼空だけじゃなかったこと。
何故か、あの奇妙な博士たちもこの世界に訪れていて・・・。
どういうわけか、同じような並行世界なのに彼女達二人の存在は、この世界には無かった。
おかげでややこしいことにならなくて済んだんだけど・・・。
・・・この世界にいるはずの、大人になった蒼空には出逢えないままだった。
・・・話ではいるはずなんだけど・・・
LOVE ITで他のメンバーと繋がっても、この世界の蒼空の情報は僕の頭の中には入ってこない。
・・・と、いうか…
な〜んか、うま〜〜くはぐらかされている感じがするんだけど…。
何か、あったんだろうか…。
