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絶対的下僕の末路

第6章 【Another story】






「伊織、パパだね」




「頑張る頑張る頑張る…!うわ、超幸せだ…!」




「あぁ、下僕が二人になっちゃう…」




「えっ!?子供も下僕なの!?」




「どっちも甘やかしてしまいそう……ねぇ、どうしようか?」




「沙羅ちゃぁん……」




「泣くな泣くな」




結局真っ赤な目をして泣いちゃった伊織を抱き締める。
どっちが妊婦だよ。
起伏激し過ぎでしょ。




「あーあ、いつ開業医なれんだろ?」




今の職場は知り合いのツテで夫婦一緒に働かせてもらってる。
歯科医師としてのスキルも勿論の事、経営マネジメントの方も学ばせて頂いていて。
いつかはここを巣立つつもりで居たのだが。




「僕が頑張るよ、沙羅ちゃんの夢はもう僕の夢だから」




「よーし、よく言った!遅くても35歳までには開業医目指そうね?」




「うっ…!頑張り…ます」




「私も育休中にライセンス取れるだけ取ろうかな」




「ま、負けないぞ…」




顔面蒼白な伊織に吹き出しかけたけど、そっと抱きついて顔を上げる。




沙羅ちゃんって呼ぶ声が好き。
傍に居なきゃ安心出来ないなんてマジ惚れも良いとこ。
いつも私の周りで焦ったりしてワチャワチャしてるけど何にも代えがたい理想の下僕よ。








ねぇ、あの頃の私たちに考えられる!?




あんなSMチックでいつぞやボンテージまで着て女王様やってた私たちが!
同棲して結婚して色んな紆余曲折を経て今の私たちが居るわけだけど。




あの日々を生きてきた私たちの未来である今。




リビングにあるのは大人の玩具……ではなくて、幸せそうに笑う結婚式の写真や生まれた赤ちゃんの写真、3人で撮った家族写真が飾られている。




ね、考えられないよね。




この小さな手に人差し指握られただけで、
どんな疲れも吹き飛んで、
笑顔になって、
愛してると囁いて、
隣に居るキミにキスをする。









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