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身代わりの妹が懐妊発覚して、そのまま皇帝の妻になりました

第1章 プロローグ

「我の子を身篭っている、だと?」
「はい。見初めた琴葉様の身代わりで、後宮妃の座を狙う琴音という娘は、陛下の赤子を身篭っていると、かかりつけ医師がそのように診察結果を言っていたので、ほぼ、間違いないかと思います」

 身代わりがバレただけでなく、腹いせのために強引に契りを結んだ琴音は、あろう事か、李秀進(リー・シュウシン)の世継ぎになるかもしれない赤子を身篭っているというのだ。
 
 身代わりだという事を除けば、なんとも惜しい存在である。
 好まない女が、将来の世継ぎになるかもしれない赤子を……と考えると手放すのはもったいない。
 互いに望まない結婚相手だが、身篭った事が事実ならば仮に追放されても生んで一人で育てたいと申す琴音に、このまま自分の妃になり、後宮の後継者を育てよと秀進は、琴音に命じた。

琴葉への思いを断ち切るきっかけをくれた琴音に、少しずつ心が動くばかりか、お腹の子への溺愛っぷりは尋常ではない。
妊娠発覚して嫁入りした事を、琴葉の耳にも入って驚きはしたのだが、祝福をする事にした琴葉は、後宮にお祝いに来たと言って演奏をしてくれた。
 姉からも、想定外だったが、今では感謝していると、これまでの事を許して欲しいと頭を下げられて琴音は、やっと心から姉を許す事にした。

 後宮妃になる琴音の扱いも丁寧なものへ変わっていく人たち。
 お腹の子供は男なら世継ぎになるのだが、女なら嫁に出さなければならないだけでなく、琴音の居場所も同時になくなるという残酷なる結果が待ち受けている。
 

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