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身代わりの妹が懐妊発覚して、そのまま皇帝の妻になりました

第4章 お嫁入り、ですか?

 琴音の様子がおかしい事に気がついた琴葉。
「顔色が悪いし、夏バテでもした? 病院に行ってきたら?」
「ちょっと食欲なくて……。あのね、姉さん……女としてくるべきモノがずっと来てないの」
「どういう事? まずは、病院に行ってきて。話はそのあとゆっくりとするよ」
(私の身代わりで、まさかとは思うけど……医者に診てもらうのが先だよね。体調悪い琴音に説教するつもりはないよ)
 

 医者に診てもらった琴音は、どんよりとしたオーラを放っている。
 この医者は、李家のかかりつけ医でもあったので妊娠している事はすぐに秀進の耳に入った可能性は高いが、琴音はその事を知らずにお腹の小さな命を一人で育てるか、姉の協力を得て親に説得してもらって育てるか迷っている。
「どうだった?」
「とんでもない事になってきた。私、どうしたらいいか迷っているの」
 琴音は、誰にも迷惑かけずに一人で育てるか、この事実を両親に打ち上げて、姉の協力を得ながら育てるかの判断ができないと言うのだ。
「身代わりを頼んだのは私だから、やはり、親には正直に話そう。勘当されたら二人でどこか山奥に引っ越して、ひっそりと育てよう」
 姉の提案に、琴音は少し考えると言って自室にこもる事にした。
 幸いにもつわりはなくて、お粥などは食べられるので、夏バテ気味だという事にして数日はやり過ごす。


 そんなある日、李家の使いの者だと名乗る人が周家を訪ねてきた。
「先日は、秀進様と会食の機会を設けてくれた事、感謝いたします。実は話があって参りました」
「話とは? まさか、娘を気に入らないからこの話はなかった事にして欲しいとかですか?」
 はやとちりの父は、先走っておかしな事を言ったのでそうではなくて、身代わりで会食に参加した妹君を妻にしたいと言っている事を伝えてきた。
「なんと言う事でしょう! 琴葉、琴音、今すぐこっちに来なさい!」
 かんかんな父の声が、二人の部屋へ筒抜けだ。
 慌てて二人は居間へと急いだ。


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