扉を開けて AN
第1章 突然の告白
ん~、って思い起こすと 記憶に引っかかることがある
あれは 多分 中学に上がってしばらくした頃・・・だったかな
保育園に入る前からの付き合いだから
子供の頃からごく当たり前に
“ まーくん ”“ かずくん ”と呼び合って来たけど
中学に入って 他の小学校から来たヤツらとも一緒になると
早速その呼び方をからかわれたりしたんだ
「ガキっぽい」とか
「ダサい」とか
その年代の男子が一番嫌がるような言葉を並べられて
ニノちゃんはすぐさま 俺の事をまーくんと呼ばなくなった
代わりに何て呼ぶのかは 暫く迷ってた風だったけど
いつの間にか“ 相葉さん ”に落ち着いてたし
俺の方は 今更変えるのも面倒だから、と
結構長い事 “ かずくん ”と呼んでたんだけど
その呼び方は止めて欲しい、と当の本人に言われて
それでも みんなとは違う風に呼びたくて
ちょっと甘さと親密さを含んだ
“ ニノちゃん ”って呼ぶようにしたんだった
そんな俺の事 ニノちゃんは
甘さとほろ苦さが混じったような表情で見てた気がする