扉を開けて AN
第21章 彼氏の条件
2-1
智くんを初めて見た時のことは
今でも忘れられない
比喩なんかじゃなく、マジで心臓が
ドキン!と音を立てたあの日は高校の入学式
真新しい制服に身を包んだ智くんは
まるで誰かが俺の視界に
特殊フィルターをかけたみたいに
その周りだけ光が淡く輝いて
周囲の背景は輪郭がふわりと緩んで見えた
「・・天使降臨?」
なんて恥ずかしい事を口走った俺
誰かに言えば
それは一目ぼれだろ、って言われそうだ
うん、相手が女の子だったなら
俺も気軽に口に出してたかもしれない