テキストサイズ

扉を開けて AN

第25章 言うべき言葉



『あ、もう時間だから行くね、櫻井君、ありがとう、元気でね』
『・・・カンナも・・・』


俺の方こそありがとう、とか
カンナは俺にはもったいない彼女だった、とか伝えたかったし
彼氏役は俺じゃない方がもっと幸せになれたんじゃないか?
ホントに俺でよかったの?って訊きたかった

けど、それと同時に
カンナの言う“目の前の幸せ”が何を指すのか
それは俺が思う通りで合ってるのか
訊きたい気持ちもごちゃごちゃになって
結局俺は何も言うことが出来ないまま電話を切った


通話を終えた俺の目の前には
真っすぐに俺を見つめる智くん

そうだ、今 俺が言うべきこと
訊くべきことは・・・




ストーリーメニュー

TOPTOPへ