
刑事とJK
第16章 海物語
オレ…何聞いてんだ…?
ゆうひは下を向いたまま、なかなか上げようとしない
その髪の下から覗く細い首もとを見ていると、吸い込まれてしまいそうで…
斉藤はゆうひの首の後ろに触れた
『ひゃっ!!』
「あ、わりぃ…」
慌てて手をしまう
『…斉藤にとっては、どうなの?
好きな人って…どういう人を言うの?』
聞き返された
そうなる気はしていたが、返答を考えていなかった
「オレは…よくわかんねぇ…」
『え…』
「冗談じゃねぇんだ、なんか…ほんとよくわかんねぇ…」
斉藤は海を見ながら続けた
「シゲとか藤野とか、いろんなやつに聞いたよ。
好きってどんな気持ちなんだ?って」
『そしたら?』
「側にいたらドキドキするだとか、一緒にいると落ち着くだとか…ただキスしたり、ヤったりしたいだけとか言うやつもいた…。
お前みたいにずっと一緒にいたい、って言うやつもいたな…」
『それで、斉藤はどう思ったの…?』
「なるほどなって思った。
みんなの考えをまとめたものを、オレにとっての"人を好きな気持ち"ってしてみた…」
『じゃあ、よくわかんないことないじゃん』
「わかんねぇよ、これはオレ自身が定義した"気持ち"じゃねぇんだぞ!?」
斉藤はゆうひを見た
その目は真剣だった
斉藤…
好きな人に抱く感情がどういうものなのか整理できないんだ…
他人から見たら、そんなのしょうもないことに思えるかもしれないけど
本人は真剣に悩んでいるんだ…
