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刑事とJK

第30章 刑事になった理由



しかし、斉藤はその言葉には憤慨した



「まっとうにって…るっせぇよ!!!!」



長谷川は目を大きく開いた




「オレはまっとうに生きてきた、少ないバイト料でも、感謝していた!!
それを急にクビにされて…
必死に働き口を探したさ、でもこんなガキを雇うとこなんざ全然見つからねぇ!!」



斉藤の話を、長谷川は黙って聞く



「金も無くなって、仕事探しすら出来なくなった!!
だから、もう何日も水だけの生活だったんだ…!!」



斉藤は自分を抑えられなかった


「でももう限界だった…
限界だったけど、死にたくはなかった…生きたかったんだ…」


手を強く握った



「こんなの可笑しいじゃねぇか…、こんなにオレは苦しんでるのに誰も助けてくれねぇ…
捨てた食い物すら分けてくれねぇ!!!」



「だから盗んだのか」




斉藤は言葉に詰まった




「……」



斉藤は頭を垂れた



その頭を、長谷川はポンと叩いた


「お前は…頑張ってたんだな…」


長谷川の優しい声に、手が震えた


「お前はよくわかってる。
世の中の善悪を、よくわかってる」



「わかって…ねぇ…」



「たとえわかっていなくても、俺はそう思う。
なぁ、斉藤…」



長谷川は手を離した



「お前、刑事になれ」







斉藤は顔を上げた




「…何、言ってんだ…オレが、んなもんなれるわけねぇ…」




「俺がならせる」




「…オッサン、馬鹿じゃねぇの?」




「俺は馬鹿だからな」




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