
刑事とJK
第6章 小犬
さすがにこの雨だ
公園の周辺に人の姿は全然なかった
公園の中には…
一人だけいた
真ん中で、傘もささずにずぶ濡れになっている…
ゆうひ…
いつもと空気が違った
雨のせいもあるだろう
でも明らかに何かが違った
こっちからはゆうひの後ろ姿しか見えない
ゆうひしか、そこにはいなかった
オレはゆうひの隣まで歩いた
「ずぶ濡れじゃねぇか…傘、ささねぇのか?」
『……』
夏服のカッターシャツは雨に濡れて肌が透け、華奢な体形がよくわかり
次から次から、ゆうひの顔を雨が滴り落ちる
ゆうひは黙ったまま、ただ一点を凝視していた
その視線の先に目をやると、傘が開いた状態で落ちてあった
