
刑事とJK
第62章 二人の始まり
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5月の終わり頃になった
斉藤は一人、あの公園を歩いていた
日曜なのに珍しく、誰も来ていなかった
まあ、今はその方が気持ちが楽かもしれない
まさか、
いい年した大人が、一年の半分くらいをこの公園で過ごした
なんて誰が思っただろう
ふと、小犬の墓へ目をやった
「あ…」
小犬の墓には、一輪の花が咲いていた
斉藤は花の名前なんて、せいぜいチューリップかタンポポくらいしか知らない
いや、もうちょっとあるか…
そんなことはどうでもいい
ただ、小犬の墓に咲いた花は、他のどの花よりも凛としていた
「そういやぁ…」
この公園で最初に出会ったのは、お前だったな
犬っころ
足元におしっこなんてされて、オレが怒ってお前をシバこうとしたんだ
そのせいでゆうひに出会ったわけで
斉藤は公園の真ん中に立った
どこか温かい風が心地好い
ここで、ゆうひに突き飛ばされた
可愛い顔のくせして、性格の悪さは一級品だったな
斉藤は苦笑した
