🌹密会🌹
第11章 🌹March🌹(終章)-2
「何故?」
「何故って...そんなの...お互いゴムを付けてないからに決まって....。」
「だから?」
だから何だ?水を刺すなとでも言いそうな彼の言葉に美月は絶句する。
「だから...ってどういう事ですか?私が妊娠してもいいって事ですか?」
「その通りだ。出来たら2人で育てればいいだろう。何か不満でもあるのか?」
何食わぬ顔でそう言い切った日比谷教頭の言葉に、頭を鈍器か何かで殴られたかのようなショックが全身を貫いた。
婚約者が居るという状況を棚に上げて、平気で子供を作りたいと言ったのだ。
本当に...子どもが欲しいのだろうか?
ただ単に今、中出しをしたいという目先の快楽を優先させたいからではないのだろうか?
言葉とは裏腹に妊娠が発覚すれば貴方は堕胎費用を出して、私をあっさり手放すのでは...?
「不満...は無い...けれど、今の段階で子どもは...まだ...早いと思う...から...」
疑心暗鬼に陥った美月だったが、彼の真意が分からない上に口論を避ける為にも、彼女はそう答えるのが一番無難だと考えたのだ。