🌹密会🌹
第5章 🌹August-2🌹
「....。ココってセンセイの部屋?」
「見て分かるだろ。」
「へぇ〜...。殺風景。つまんない。」
「お前の幼稚な感想を聞くために私がわざわざ連れて来たと思っているのか?早く座れ。」
「えー嫌だ。どうせ、勉強でしょ?アタシ数学嫌いなんだけど。」
「無駄口を叩くな。テストの出来も悪い上に補習もすっぽかしたお前への救済措置だぞ。」
「...はいはい、座ればいいんでしょ。座れば。」
煩わしいとでも言うように、片耳を押さえながら、気だるそうにオフィスチェアに座り、足を組むと、デスクの上の紙をピラっと捲った。
「私が作成した小テストだ。制限時間は10分。解説をするまでもない基礎的な問題だ。私も暇ではない。さっさと済ませてくれ。」
「はいはーい。分かりました。」
間延びしたやる気のない声を上げると、
ピピっとストップウォッチの機械的な音が響き、私は用意されたシャープペンと消しゴムを持つ。
数Iの式の展開や因数分解だ。
懐かしいな!と思い、問題を解こうとして、ハタと止まる。
危ない危ない、私は今、学業を怠っている劣等生。
自分にそう言い聞かせると、ワザと解答を間違えたり、空欄を多く作る。
後は暇そうにペン回しをしたり、セットした髪の先を指先で弄って時間を潰していると、テスト終了の音が鳴り響いた。