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🌹密会🌹

第1章 🌹April🌹


「初めてか?」

以前緊張が解けないだけなのだが、私が未経験だと思ったらしい。
「いいえ」と小さな声で返答すれば、彼はフンと鼻で笑った。

「まるで処女のようだ。もう少し肩の力を抜いてもいいと思うが。」

「...久しぶりなんです...こういう場所。だから余計に...緊張してしまって...。」

「ああ...なるほど」

日比谷教頭は鋭い眼光で私を食い入るように見つめていた。その視線から逃れるように顔を背ける。

「顔を見せてくれ。」

妙に優しく、独特の色気がある日比谷教頭の声に、私は背けていた顔を戻した。

彼は私の顎先に指を添えて軽く持ち上げると、その端正な顔を近づける。
無論、私にその口づけを拒否する権利も無いが、せめてもの抵抗とギュッと強く唇を引き結んだ。

傍若無人な彼の事だ。すぐに強引に舌をねじ込んで、息が苦しいディープキスをするのかと思いきや、触れるようなキスから始まった。

唇の柔らかさを確かめるように口付けるプレッシャーキスを数回されると、今度はキスをしながら私の上唇と下唇の隙間を舌でゆっくりとなぞった。

ゾクリとした快感に、ギュッと強く引き結んだ唇と唇の間に隙間が生まれる。その後、完全に私の唇から力が抜け切ったのを確認すると、分厚い舌を使って焦らすように口内を蹂躙していった。

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