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デーモンハント

第2章 デーモンハントの仕事

そしてポンとソレルがエルザの肩を叩くと、エルザの服が切られる前の形に戻る。

「残念です」

ソレルはしゅんとしながら、呟いた。
ベッドから下りて、エルザは床に転がる悪魔の死体を見ながら部屋の外へと向かう。

冷静さを取り戻したかのようにエルザは振る舞っていたが、実際は体が熱くてたまらなかった。
行為が途中で邪魔をされ、体は火照ったままである。

エルザの後をとぼとぼと歩くソレルの足を、何かがぎゅっと掴んだ。

「おや?」

気付いたソレルは自分の足を掴んだ物を確認すると、それは死んだはずの悪魔の手だった。
切り落とされた頭の目がギョロリと動き、ソレルを睨む。

「お前も悪魔のクセに、何でデーモンハントの手伝いをしていやがる」

そう聞いた悪魔の声は口内にたまった血でガラガラとしていて、この悪魔がもうすぐ完全に死ぬ事を示している。
ソレルは足を掴む手を丁寧に外すと、悪魔の頭に近付いた。

「そういう契約なので」

にこっと笑い、ソレルは言う。

「馬鹿、げて……る」

悪魔はそう言うと、だらりと長い舌を垂れ下げて、その命を失った。

「どうしたの?ソレル、早く行くよ」

エルザがドアの方から部屋を覗いて、ソレルを呼ぶ。
ソレルは「何でもないです」と言ってエルザの方へと歩き出した。



車に戻った二人は、そのまま家に向かって移動を始める。
そして、家まで一時間ほどの距離になった時。

「俺との出会い、覚えてますか?」

不意に、ソレルがエルザに問い掛ける。
それを聞いたエルザは、顔をしかめてソレルを見た。

「何?急に」

エルザが返す。

「聞いてみただけです」

前を見つめながら、ソレルが言うと、エルザは窓の方へと顔を向けた。

「忘れるわけ無いじゃん」

エルザが呟くように言うと、ソレルは嬉しそうな笑顔になった。

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