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デーモンハント

第9章 仮面の悪魔

悪魔は飛び込んで来たエルザを見つめ、笑みを浮かべる。
その余裕のある表情を確認したエルザは、真っ直ぐ飛び込むのを止め、悪魔の前にあったテーブルを蹴りあげ、壁を作った。

視界を奪われた悪魔は、茶化すようにひゅう、と口笛を吹く。

「重たいテーブルなのに、よく動かしたね」

悪魔はそう言うと、テーブルに触った。
するとテーブルは吹き飛び、入り口の扉の近くにいたソレルの横に突っ込む。
危うく巻き込まれそうになったソレルがきょとんとした表情で、壊れた壁とテーブルを見た。

「あれ?」

吹き飛んだテーブルの向こうにエルザの姿が無いことに、悪魔は首を傾げる。
悪魔が一瞬エルザを見失った瞬間、悪魔の背中に痛みが走った。

「んん?」

驚いて悪魔が振り向くと、そこにはエルザが剣を握って立っている。
エルザはテーブルで視界を奪ったスキに、悪魔の背後に回り込んでいた。
そして、ソファーごと悪魔の背中を切りつけたのだ。

エルザは更に、ソファーを踏んで飛び上がると、悪魔に向けて剣を振り下ろす。
悪魔はエルザに手を向けて、手から光の矢を飛ばした。

それをエルザは剣で弾き、着地すると、素早く悪魔の首に回し蹴りを食らわす。
悪魔はその衝撃に一歩後退した。

「大人しく死になさい!」

エルザは叫び、悪魔に向かって剣を振り下ろす。
しかし悪魔は、その剣の刃を手で掴み、もう片方の手をエルザに向けた。
悪魔の手が光り、光の矢がエルザの顔にめがけて飛んだ。
エルザは咄嗟に剣から手を離して横に転がり、それを回避すると、すぐに体勢を立て直して立ち上がり、悪魔の背中の傷に拳を叩き込む。

エルザが傷口を抉るように拳を食い込ませると、悪魔は口もとから笑みを無くす。
そしてエルザから奪った剣を持ち直し、エルザに向かって剣を振った。

エルザは悪魔の剣から逃れる様に一歩下がり、そして回避が成功した瞬間、剣を握っている悪魔の手を蹴る。
剣が空中に投げ出され、エルザはジャンプをして、空中で剣を掴んだ。

「ムカつくなぁ」

悪魔はそう吐き捨てると、エルザに向けて光の矢を数本飛ばす。
エルザは矢を剣で弾くが、全てを防ぐ事ができず、肩と足に矢が刺さる。

「くっ!」

着地したエルザは、片膝を地面につき、歯をぎりっと鳴らした。

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