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ほしとたいようの診察室

第7章 回想、主治医の苦悩







「あのさぁ、日野くん、まず女の子に叶えられない約束はしちゃだめだよ」








言われると思った……厳しいことを……。



日本酒を舐めるように呑むその顔は、吹田先生、いや、吹ちゃんになっていた。


「まあ、女の子じゃなくてもだけど」



……それは、古くからの友だちの顔である。

大学時代、どちらからともなく飲みに誘って朝まで話す日が、よくあった。
その頃はお互いのことを「吹ちゃん」と「日野くん」と呼んでいたから、飲みに行くと今でもその名残が出る。



「いや、でも……」


ぐうの音もでない。詰まらせた返事を、酒で飲み下す。
ガヤガヤとした居酒屋の雰囲気の中、迷ったような表情をしているのは自分だけのように感じた。


苦し紛れに、言葉を発する。
……もう吹ちゃんには、言い負かされるとわかっていながら。



「良くなったら中庭で散歩くらいは……」



手元にあったおしぼりをいじりながら言いかけると、すかさず、突っ込みが入る。





「良くなったらって、どれくらい? 数値で言うとどんなもん?」





真顔で理詰めにされるから、さらに言葉を失う。





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