
ほしとたいようの診察室
第7章 回想、主治医の苦悩
その後、蒼音くんが教えてくれた。
「陽太先生。のんちゃん、王子様には裸が見せられないんですって」
さすがにこれには苦笑いである。
「なんでまた……嫌われたのかと思った」
深いため息をつきつつ、今度から聴診器すら当てさせてもらえないかもしれないことを、心配に思った。
とはいえ、心のどこかで安堵している自分もいて、のんちゃんに本当に嫌われるのは、自分としてもダメージが大きいことを認めざるを得ない。
「嫌われるって、そんなわけないじゃないですか! もー、鈍いなぁ。陽太先生は。恋ですよ、これは」
「恋って……」
失禁して廊下で泣いていた、小さなのんちゃんである。いやいや、恋っていうかそれは、愛着形成みたいな話ではなくて……?
と、頭の中で蒼音くんの言葉を打ち消してみる。
「まあのんちゃんだって、ちっちゃくても立派なレディですからね」
いつぞやの吹田先生と同じようなことを言って俺の肩を叩くと、蒼音くんは仕事に戻って行った。
……
