
ほしとたいようの診察室
第7章 回想、主治医の苦悩
「……もう、注射しなくていいってこと?」
実感が湧いてきたのか、のんちゃんは、嬉しそうに目を輝かせて言った。
「うん。注射も薬もおしまい」
「体育も、走っていいの?」
「もちろん。でも無理はしちゃダメだよ」
「やったー!」
診察室の丸椅子から、のんちゃんは飛び上がって喜んでいた。
「でも半年に1回、体の調子を確認するから、その時は病院に来てね」
俺がそう言うと、
「たまに、陽太先生に……会えるんだ」
と、のんちゃんは呟いた。
「いつでもおいで。会いたくなったら」
のんちゃんの頭をもう一度撫でる。
……主治医として、病気を治してあげることができたのは、本当に嬉しかった。
のんちゃんと、約束したことだったから。
そしてのんちゃんが、体の心配をすることなく学校生活を送れていることが、何よりとても嬉しいことだった。
