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恋人は社長令嬢

第1章 素敵な出会いにはご用心

「そんなに……大きな声で、怒鳴らなくてもいいじゃん!」

梨々香の目は、涙で濡れた。

「あ、いや…その……」

瞬は、頭を掻きながら、困っている。

「ごめん。もう、大声出さないから。」

昨日の優しい瞬に、戻っている。


「本当?」

梨々香は、今度は上目使いで、瞬を見た。

「うん。」

瞬は、梨々香の姿を見ないように、片手で顔を覆った。

「だから、正直に教えてくれ。昨日の君と、今の君。どっちが本当の梨々香ちゃんなのか。」


数秒の沈黙の後、梨々香は口を開いた。

「バレたら仕方ないか。」

「え?」

前で腕を組む梨々香。

「そうだよ。これが本当の私。」

瞬は頭に、何か刺さった気がした。



「だって私、まだ高校生だもん。」

そして瞬は、ゆっくりと、後ろに倒れていった。

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