I‘m yours forever
第2章 美月、奮闘する
「美月、そろそろいいか?」
私が頭を抱えていると、風呂から上がってきた黎一さんに声を掛けられた。
「ちょ、ちょっと待って下さい!プランは決まったんですけど、まだ最初の台詞が決まってなくて、もう少しお時間を.....。」
「....プラン?そんな大層な物を考えてくれたのか。やはり真面目だなお前は。」
「で、でもまだ最初の台詞が...導入部分が決まってなくて....。」
「美月、大丈夫だ。こんなくだらない事に頭を使わなくていい。適当でいい。いつも通りにしていなさい。」
黎一さんはそう言うと微笑を浮かべた。
反論したかったが、確かにこんな下らない事に頭を使うのは馬鹿げていた。
「はい、分かりました。」と小さく答えた私に対し、「では私が指定した服に着替えたら寝室へ。待っている。」と一言言うと、去っていってしまった。
私は彼に手渡された衣装のビニール包装を破く。出てきたのはボンテージだ。黒のテディ・レオタード、光沢のあるグローブとストッキング、PUレザーのスパンキング用の鞭だ。その隣の袋はパンプスが入っていた。所謂、レッドソールと呼ばれる靴底だけが真っ赤な黒いハイヒールだ。
.....もういいや。
多分、なるようになる。
ノープランで行こう。
半ばヤケクソになった私は、全く慣れないボンテージの着用に四苦八苦しながら、最後は魅惑的なレッドソールに足を通すと、彼の待つ寝室へと向かったのだった。